ミラーレスの良いところ…、それはマウントアダプターを介せばオールドレンズと言われるような昔の名玉が使えること。フルサイズセンサーに描かれるカールツァイスの魅力とは。
現在自分がもっとも気に入っているレンズ、ヤシカ・コンタックスのCarl Zeiss Makro-Planar T* 2.8/60 C MMJ。SONY α7Ⅲとのコンビネーションで使い始めてから8ヶ月が経過したので、作例とともにレンズレビューをしてみたいと思います。
Carl Zeiss Makro-Planar T* 2.8/60 C MMJ
歴史
1993年、Makro-Planar T* 2.8/60 AEJからコンパクトなMMJとなって京セラから発売。
2019年現在は、中古しかないわけですが、比較的状態の良いもので、59,980円(税込み)といったところでしょうか。
スペック・基本仕様
対応マウント | C/Y |
---|---|
レンズタイプ | 単焦点 |
フォーカス | MF |
レンズ構成 | 4群6枚 |
絞り羽根枚数 | 6 枚 |
焦点距離 | 60 mm |
最短撮影距離 | 0.27 m |
最大撮影倍率 | 1:2 倍 |
開放F値 | F2.8 |
画角 | 39 度 |
フィルター径 | 55 mm |
最大径×長さ | 65.5×51 mm |
重量 | 260 g |
レンズ構成図
古い雑誌に載っていたCarl Zeiss Makro-Planar T* 2.8/60 のレンズ構成図をphotoshopで再現しました。少々粗いのはご愛敬で。ダブルガウス型と呼ばれる、4群6枚です。
α7Ⅲに装着した姿
前玉が奥に入っているので、フードは必要ないと思っていました。しかし正面ではなく斜めからの逆光で、まずまずのフレアーが出てしまいました。そこで評判のHAKUBAから出ているメタルフードを装着して使っています。
絞りの変化による描写の違い
クリックで拡大されます。センサーのゴミはご愛敬で。
ミラーレスの場合、ファインダーや背面液晶に上の写真のように表示されます。つまり絞りの違いによる被写界深度が判りやすい。逆に絞った時にはピントの山は見えにくくなります。
Carl Zeiss Makro-Planar T* 2.8/60 C MMJの作例
シクラメン
f/4、1/15sec、ISO-800、WB-4500 2018-12-26
このレンズとα7Ⅲのコンビとなってから初期の画です。ピント面の解像具合と、溶けるようなボケに魅せられ改めてZeissの虜になりました。
猫
f/4、1/60sec、ISO-12800、WB-3450 2019-01-12
友人宅で撮らせていただいた美人さん。暗所での撮影で、どこまで綺麗に写ってくれるのか?を試した形になってしまいましたが、ISO-12800でもこの写り。
木目
f/8、1/125sec、ISO-800、WB-4450 2019-04-21
伴先生の尾頭橋でのワークショップに参加させていただいた時の一枚。古き良き建築と言うことで、望遠レンズ縛りでいくつもりが、この節目を見つけていきなりレンズをマクロプラナーに変えていました。
クレマチス
f/8、1/125sec、ISO-1600、WB-4800K 2019-04-28
地味な印象を持っていたクレマチスですが、花弁の質感が素晴らしく色合いも綺麗でした。雌しべから花弁までの被写界深度を確保。
未央柳(ビヨウヤナギ)
f/2.8、1/200sec、ISO-100、WB-4400K 2019-06-06
花弁をピント面にしたら、どの角度や位置が、もっとも雄しべや他の蕾とで絵になるか探りました。開放のf/2.8、f/4、f/5.6で比較したところ、この開放がピント面のコントラストがくっきりして見えました。俺は日の丸構図王になる!。
扇子のおみくじ(御裳神社)
f/2.8、1/250sec、ISO-100、WB-5200K 2019-06-12
抜けの部分に玉ボケがあったので、開放にしました。
つくばいに浮かぶ紫陽花(御裳神社)
f/8、1/250sec、ISO-400、WB-5300K 2019-06-12
水の揺れた部分がプルプルしていて、紫陽花の色合いとのコンビが美しい。
刺し盛り
f/8、15sec、ISO-100、WB-2300K 2019-06-15
最短撮影距離に近いので、ミニ三脚をセットしてf/8まで絞り、被写界深度を確保しました。主題のかつおの背中中心部分にピント。60mmと言う画角はテーブルフォトにおいて、適度にクローズアップしてくれます。
上皿天秤
f/4、1/4sec、ISO-100、WB-4000K 2019-06-20
アングルやピント位置に迷い、撮影するまでに小一時間。久しぶりにひと絞りしただけで背景をぼかしました。
算盤
f/11、1/2sec、ISO-100、WB-4200K 2019-06-26
古い算盤で玉まで木でできています。そんな材質を表現しつつ、ある程度の近接撮影で周辺の直線がどの程度か確認した画です。
メンテナンスハッチ
f/8、1/250sec、ISO-100 2019-06-30
雨に濡れたマンホールの蓋。一宮市の花、キキョウがデザインされています。溝に残っている雨がプルプルして見えました。
三猿
f/16、1.5sec、ISO-100、WB-5000K 2019-07-10
我が家の木彫りの置物。「見ざる、言わざる、聞かざる」の順番は日光東照宮にならい並べました。丸っこく見える両サイドのお猿さんがバランスを取ってくれています。上下の黒部分を落とし込むことで、主題の光のコントラストを活かせました。最も絞り込んだ作例として。
Carl Zeiss Makro-Planar T* 2.8/60 C MMJの総評
フィルム時代のレンズで、電子接点がないのでf値が残りません。現代のマクロプラナーの位置づけのミルバスは、あの流線形が好みではないので、ぜひSONYさんには、マクロプラナーを開発して欲しいところです。
AEGやAEJで、等倍マクロ領域の撮影をしようとした場合、三脚が必要になるケースが多いと思われます。また、重さなども考慮するとスナップ撮影に向きません。このコンパクトMMJはハーフマクロに割り切っている分、軽く、手持ちマクロと言うよりは、寄れるツァイスと言うことで重宝しています。テーブルフォトや花の撮影など、その描写力も素晴らしいのですが、フルサイズセンサーとマクロプラナーのコンビは、まだまだこんなものではなさそうです。
↓ぽちっとお願いいたします。
この記事を気に入っていただけましたら、拡散(シェア)いただけると嬉しいです。
コメント
初めまして。
いつもはインスタでお世話になって感謝いたします。
akira様の写真をいつも見せていただき、すごいなぁとかこんなに写してみたいなぁとか思っていました。
最初はAFでかちゃかちゃやっていましたが、皆様の写真を見てるとMFが多いように思い、今の時代になぜって疑問を持ちましたが、自分でもMFレンズを購入し、オールドレンズもテッサー45mmとプラナー50mmを手に入れやってみると楽しくてたまりません。www
この度おすすめのマクロプラナー60mm 2.8c もゲットしまして、尚楽しんでいきたいと考えています。
これからも楽しみにしていますので、宜しくお願い致します。
おお、マクロプラナーを購入されましたか!。いいレンズですよ~。プラナー50と比べてじわりと動くヘリコイドは時間はかかりますが合わせやすいです。
フォーカスは、動体に対してや相手があって時間的に失敗できない場合はAF(レンズ)を使いますが、自分が下手なせいもあってAFが難しく感じています。ここって所にすぐに合ってくれなかったり、合ってもMFで追い込んだフォーカスにどうしても勝てないんですよね。そんなわけで街角スナップやフラワースナップは失敗もしますがMFで楽しんでます。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。
こんにちは。
懐かしく思い読みました。
昭和54年から平成3年までコンタックスを使用していました。マクロの発色性とボケ味が好きで、平成9年までボデイ1台とこのレンズを残して使用していたことを思い出しました。
さゆうさん、コメントありがとうございます。
寄れることの表現の自由度に今更ながらに感心しております。
ましてツァイスの描写力♪
さらに引き出してあげられるように、頑張ります。